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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/01/08(日) 21:25:30.26 :
UAoSMK+vo
薄っすらと暗闇に包まれた街並み。
吐いた吐息は冷たい。
冷たい風が頬を打つ。
この季節になると寒さに耳元に痛みすら感じる暴力的なものを感じる。
……うむ、やってられん。
季節はクリスマスも終わり、年の暮れ。
街は正に師走、とでもいいたげな多くの人が行き交う様相であった。
かくいう俺も駆けずり回って仕事をなんとか回しているのだから人のことを言えた義理でもないのだろうけど。
「……さむ、さむ」
こんな日はとっとと自宅で暖かくしてお酒呑んで、寝るに限る。
半ば無意識に掌同士を擦る。
そして、辿り着いた一軒家、我が家である。
俺は、鈍い銀の輝きを放つ明らかに冷たそうなドアノブにポケットから鍵を取り出して刺そうとする。
だが、それよりも一足先に内側から鍵が開かれるほうが早かったようで――。
「えっへん」
開かれた扉の隙間から銀色の髪を纏った生首が生えてくる。
「どうですかぁ。このサンタ特有の気配察知能力!こうっ、あなたの気配をびびびっとですねぇ――」
自慢げな笑みを見せる銀髪生首。
なんだか、その表情が微妙にムカついたので、なんともなしに、冷え切った掌を銀髪生首の両頬に添えた。
「……ッォ!にょぎゅぉぉぉ!」
百年の恋も冷めそうな悲鳴が寒空とご近所に響いた。