【モバマス時代劇】木村夏樹「美城剣法帖」_ by SS 森きのこ!

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元スレ
1以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/26(金) 23:46:05.88 :ArXuL0GF0

さてどうしたものか。

遊郭の個室にひとり、三味線を弾きながら木村夏樹は思った。

東郷派に喧嘩を売る口実を作ったのはよいが、率直に言って分が悪い。

ざっくり千川派と東郷派の違いを分けると、文官と武官。

馬廻だった凛や徒士頭の木村などを除けば、そのような形になる。

千川派は頭脳労働集団であって剣には長けていない。しかも、責任や面倒な命の張り合いは他人に押し付けたがる傾向がある。

つまるところ先陣を切って戦える人間はごく少数である。

一方東郷派は頭は軽いが、それゆえに簡単に曖昧模糊な“大義”に命をかける。

修行にのめりこんで出世を逃すような剣術馬鹿も大勢いる。

しかも、このような馬鹿者どもは買収にも応じない。

未央をもっと可愛がっておけばよかったか。木村の脳裏に、行方知れずになった後輩が思い浮かんだ。

凛を斬ったとはいえ。いや、凛のような剣士を斬れる女が千川派に必要だ。

つまるところ、理性感情を抜きにした物理的な破壊力。

千川派は首から下は能無し。

三味線を休めて、木村は酒を煽った。

自分たちの手が汚せないのなら、余所者に力を借りるしかあるまい。


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